ゲット・レディ / キングカーティス
Get Ready / King Curtis

2004年 3/11 アップ!
2009年 5/31 更新しました。


2009年5月31日
ついに実現!! キングカーティスの傑作
” インスタント・グルーヴ ” に続き ” ゲット・レディ ” も初CD化!


 皆さん、やっと米国の Wounded Bird Records レーベル(エレクトラ・エンターテイメント・グループのライノの製作による)からキングカーティスの幻のアルバム ”ゲット・レディ ” が初CD化です。 今回も輸入盤のみですが、迷わず GET IT だ!


 


早期にCD化の実現を!
このアルバム 『 ゲット・レディ 』 は、ロック史にも刻まれるべき名盤なのだ。




Get Ready / King Curtis
Left : D/J copy monaural
 Right : ATCO SD33-338 (STEREO)

Side-1
1.Get Ready / 2. Sugar Foot /  3. Floatin' /   4. Bridge Over Troubled Water / 5. Soulin'

Side-2
1.Teasin' /  2. Something /  3. Promenade /   4. Let It Be /  5. Someday We'll Be Together


King Curtis guitar on ( Side2-3 )
Cornel Dupree guitar on ( Side1-1,2,3,4,, Side2-2,3,4,5 )
Eric Clapton & Delany Bramlet  guitar on ( Side2-1 )
Eric Gale guitar on ( Side1-5 )


Produced by King Curtis (Side1-1,2,3,4,5, Side2-2,3,4,5)
Produced by Delany Bramlett (Side2-1)



キングカーティスがスワンプ・ロックに挑んだ超大作
さらなる超重量級のヘビィ・サウンド!!!

 ジャケットにあるキングカーティスの顔写真を見ると何ともイイ顔をしているではないか。 きっと彼の生涯でも最も充実していたのがこの時期だったのではないだろうか? このアルバム 『ゲット・レディ』 は、前作の 『インスタント・グルーヴ』 と並ぶキングカーティスの円熟期にレコーディングされた傑作です。 何度も言うけど、これらのアルバムを聴かずして 『フィルモア・ウエストのライヴは名盤だ』 などとは言っていられません。 これらのアルバムからは、当時キングカーティスが考えていたサウンド面での新しい試みが沢山聴けます。 いつまでたってもCD化されないのならレコードプレイヤーを買ってまでLPをGETしても聴く価値がある傑作だと思います。 ←注:などと以前は頑張って言ってましたが、このほど2009年5月米国 Wounded Bird Records レーベル(エレクトラ・エンターテイメント・グループのライノの製作による)から待望の復刻版CDが発売となりました。

 このアルバムは、1970年1〜3月頃にアラバマ州のマッスルショールズ・サウンド・スタジオで8曲がレコーディングされ、ニューヨークのアトランティック・レコーディング・スタジオと、ロスアンゼルスのサンセット・サウンド・スタジオでそれぞれ1曲ずつレコーディングされています。


Teasin' は、愛弟子(コーネル・デュプリー)によって受け継がれた名曲

Side2-1 Teasin'
 何と言ってもこのアルバムのハイライトは、Side-2の1曲目 Teasin' だと言えましょう。 NOMとしては、このページを見てくれている人には、この1曲の為にこのアルバムを中古レコード屋さんで探して買ってもらっても良いほどだと思ってます。 それだけ皆さんにも聴いてほしいしキングカーティスという偉大なアーティストを再評価してほしいのです。

 まず Teasin' という曲名を聞いただけでピンッとくる人は、相当なソウル・JAZZや、フュージョンがお好きな方でしょう。 そうです、1974年に発表されたコーネル・デュプリーの初ソロアルバムのタイトル曲にもなった曲です。 このアルバムは選曲も素晴らしく、コーネル・デュプリーが亡き師匠キングカーティスに捧げた作品だといってもおかしくありません。 というのも、キングカーティスのオリジナル曲 Side1-1. Teasin' / Side1-2. Blue Nocturne / Side1-4. Feel All Right が3曲も選曲されているからです。
 
コーネル・デュプリーの Teasin' はキングカーティスのオリジナル・バージョンのヘビィなサウンドとは全く異なり、LPジャケットの写真をイメージしたようなジャマイカの南国的なイメージでアレンジされている。 チャック・レイニーのドライブを効かせたベースがとても印象的です。 Blue Nocturne / What Would I Do Without You / Plain O'l Blues では、コーネル・デュプリーの得意技でもあるネチッこいブルース・ギターが我々リスナーを泣かせてくれます。 このアルバムが1974年というファンクな時代に、ここまでブルース色が出せるのも、このメンバー達ならではなのだと思えます。 



名盤
Teasin' / Cornell Dupree ( Atlantic SD 7311 / 1974)

Side-1
1.Teasin' /  2. Blue Nocturne /  3. Jamaican Lady  /   4. Feel All Right

Side-2
1.How Long Will It Last / 2. What Would I Do Without You? /  3. Okie Dokie Stomp  /   4. Plain O'l Blues

Personnel
Cornell Dupree ( guitar , sitar ) / Chuck Rainey ( bass ) / Bernard Purdie ( drums ) / Ralph MacDonald ( percussion ) /
Richard Tee ( keyboard , piano ) / David Newman , Joe Farrell ( tenor sax ) / Seldon Powell & Trevor Koehler ( baritone sax ) /
Garnett Brown ( trombone ) / Jan Faddis , Ernie Royal & Joe Newman ( trumpets )

Recorded at Atlantic Recording Studios, New York, N.Y.

 Blue Nocturne は、シンガーソングライター兼ギターリストの Ronnie Miller との1967年6月のセッションでレコーディングしたキングカーティスの幻の名曲である。 一応、EP盤の Memphis Soul Stew のB面としてシングルカットはされていたのですが、ほとんど幻の曲扱いになってしまっているのが現状だ。 ちなみにこの時のセッションでは、" Blue Nocturne " の他にも Home Cookin' というグルーヴ・ナンバーや、またRonnie Miller のヴォーカルをフィーチャーしたバラード曲 " Hello Sunshine " (1968年にウィルソン・ピケットがアルバム " I 'm in Love " で取り上げ、同年アレサ・フランクリンもアルバム " Aretha Now " でとり上げている曲)などの隠れた名曲がある。 何故これらの秀逸な曲がボツになったのか・・・・を考えてみると、この時期のキングカーティスのセッションがかなり充実していたからだと思われる。 というのも、その翌月の7月4日にはメンフィスでの " Memphis Soul Stew " のセッションや、翌8月24日にもメンフィスで Ode to Billie Joe や、 I Was Made to Love Her などが、アルバム 『キング・サイズ・ソウル』 の為のセッションが続くことになるからです。



King Curtis / Didn't He Play
Drive 3221 BAUR MUSIC

 これらのボツ音源は、1987年に米国の Festival Records というレーベルからキングカーティスの未発表曲集 " Didn't He Play "(上図参照) というタイトルでアナログ盤で発売されていました。 また、その後1990年代半ばには米国のDriveというマイナー・レーベルから同名タイトルのリイシュー盤のCDが出されていて、このCDは現在でも、たまにタワレコとかでも店頭に置かれていることがあるので興味のある人はチェックしてみて下さい。






Teasin' は キングカーティス によるロック勢への挑戦状なのだ!
キングカーティスのソプラノ・サックス vs エリック・クラプトンのワウワウ・ギター、そしてジム・ゴードンの爆弾ドラムの真剣勝負!

  このように Teasin' という曲は、今日ではすっかり コーネル・デュプリー のソロ・アルバムとして有名になってしまった訳なんですが、Teasin'という曲のことは知っていても、この曲がキングカーティスと、当時のATCOレーベルで L.A. スワンプ・ロックの核となっていたデラニー・ブラムレットによって作曲されたということまで分かって聴いている人は少ないようですね。 ロックやフュージョンが好きな人であっても、Teasin' の作者としてクレジットされている Curtis Ousley という人物がキングカーティスの本名である・・・ということがあまり知られていないんです。 だからNOMとしてはもう少し深く検証して、多くの洋楽ファンの方々に Teasin' のオリジナル・バージョンのことをよく知ってもらいたいと思います。 なぜなら、この曲の背景には、1970年当時のロック界の偶然がもたらした奇蹟みたいなものが存在するからなのです。 以下は Teasin' セッションのレコーディング・データーです。 Teasin' は、ある意味ではロック史の1ページにも刻まれるべき伝説のセッションの中で誕生した曲だと言ってもおかしくありません。 

Personnel
King Curtis ( soprano sax ) , DelanyBramlett ( acoustic & rhythm guitar ) , Eric Clapton ( lead guitar )
and friends

Recorded at Sunset Sound Studios, Los Angeles, California. 1970
Produced by Delaney Bramlett
Recording & remix engineer: Bill Halverson

 70年代ロックが好きな人ならば、このパーソネルを見ただけで鳥肌が出てくる人もいるのではないでしょうか? そうです、キングカーティスのアルバム " Get Ready " に収録されている Teasin' のオリジナル・バージョンというのは、スワンプ・ロック全盛期のスターとそのフレンズ達が参加している歴史的な名曲なのです。 この曲の奥深さを理解するには、下図のアルバム相関図から話しを進めてゆかなければなりません。

1970年前期のL.A.スワンプ・ロックの相関図
詳しくはこのアルバム図の画像をクリックしてお入り下さい。



 さて、では少し話を元に戻しますが、キング・カーティスのアルバム " Get Ready " のレコーディングも1970年の初頭で、ちょうどこの時期と重なります。 レコーディングの日付などは、今のところ詳しいデータが確認されていませんが、上記の流れから想定すると Teasin' のセッションは、デラニー・ブラムレットと、エリック・クラプトンが、L.A. でソロ・アルバムのレコーディング中だった1970年1月に実施さわれたことは間違いないとものと考えられます。 さらにこの時期のL.A. では、グリン・ジョンズのサンセット・サウンド・スタジオで、レオン・ラッセルのソロアルバム " Leon Russell " のレコーディングも行われていたことから見ても、Teasin' のセッションに参加していたフレンズのメンバーは下記の顔ぶれだったと推測できます。

King Curtis( soprano sax ) , Delaney Bramlett( rhythm guitar ) , Eric Clapton( lead guitar ), Jim Gordon( drums) , Carl Radle( bass ) , Bob Whitlock ( organ ) , Bobby Keys ( tenor sax ) , Jim Price( trumpet)

 別頁でご覧いただいたとおり、エリック・クラプトンの初ソロアルバム " Eric Clapton " のレコーディング後、2月に行われたフィルモア・イーストでの2回公演以後頃から少ない報酬に不満を持ち始めたフレンズのメンバーの大半は、レオン・ラッセルが企画した新プロジェクト・ジョー・コッカー(マッドドッグス&イングリッシュメン)の方へと引き抜かれてゆきます。 よってフレンズも次作のニューアルバム " To Bonnie From Delaney " (下図参照)からは、新メンバーを起用せざるをえない状況となり、こうして1968年頃からロスアンゼルスで奇蹟的に起こったスワンプ・ロックの勢いも陰りを見せ始めます。



To Delaney From Bonnie ( ATCO SD33-341 / 1970 )

 キングカーティスのアルバム " Get Ready " ( ATCO SD33-338 ) と同時期に制作された上図のデラニー&ボニーのアルバム " To Bonnie From Delaney "  のSide-1の6曲目 " They Call It Rock & Roll Music " では、キングカーティスがテナーサックスでゲスト参加している。

Side-1
Hard Luck And Troubles / God Knows I Love You / Lay Down My Burden / Medley( Come on in My Kitchen ,
Mama, He Treats Your Daughter Mean ) / The Love of My Man / They Call It Rock & Roll Music

Side-2
Soul Shake / Miss Ann / Alone Together / Living on the Open Road / Let Me Be Your Man / Free the People

" They Call It Rock & Roll Music " Decca セッションのパーソネル
Bonnie Bramlett ( vocal ) , Delaney Bramlett ( rhythm guitar & vocal ) , King Curtis ( tenor sax ) ,
Ben Benay ( lead guitar ) , Duane Allman ( slide guitar ) , Jerry Jumonville ( alto ) , Frank Mayes ( tenor ) ,
Darrell Lenard ( trumpet & trombone ) , Jim Gordon ( organ ) , Kenny Gradney (bass) , Chuck Morgan (drums)

Recorded at Decca Studio, New York, N.Y.








Side1-5. Soulin'
 次にニューヨークのアトランティック・レコーディング・スタジオでレコーディングされた Side1-5. Soulin' ですが、この曲のセッションでのメンバーは下記のとおりです。

King Curtis (  tenor saxe ) , Willie Bridges ( baritone sax ) , Joe Newman ( trumpet) , Jimmy Smith ( organ ) ,
Ronnie Miller & Eric Gale ( guitar) , Richard Tee ( keyboards ) , Chuck Rainey (bass) , Ray Rucas (drums)

Recorded in New York at Atlantic Recording Studios, Spring 1970.


 ここではエリック・ゲイルの1970年代の作品でよく聴ける プリ・プリッ!キュイーン 的なギターはまだ聴けませんが、イントロのスパニッシュ・ギターを思わせるフレーズがカッコイイ! またチャック・レイニーのベースが、ジェリー・ジュマンのインスタント・グルーヴに似たフレーズを連発していて面白い。 チャック・レイニーには、ジェリーのような固さや荒っぽさがないが、こうして聴いてみるとチャック流の手数の多い速弾きのフレーズもなかなか魅力がある。 それにしても、チャック・レイニーとレイ・ルーカスによるリズムのコンビネーションはピッタリと息が合っていて本当に素晴らしいものがあります。 この Soulin' は、まさにソウル・グルーヴのお手本とでも言える曲です。







 では最後にマッスルショールズ・サウンド・スタジオでレコーディングされた残りの8曲についてですが、ここでは3曲のオリジナル曲と、5曲のカバー曲が下記のメンバーによってレコーディングされました。

King Curtis ( soprano , alto & tenor saxes ) , TrevorLawrence ( baritone sax ) , Joe Newman & Ernie Royal ( trumpets) ,
Benny Powell ( trombone ) , Cornell Dupree ( lead guitar) , Eddie Hinton (rhythm guitar) , Barry Beckett (keyboards) ,
David Hood (bass) , Roger Hawkins (drums)





Side1-1  Get Ready 
 このアルバムのタイトル曲で、モータウン・レコードの人気ヴォーカル・グループのテンプテーションズの1966年の大ヒット曲のカバー。
当時のキングカーティスのサウンドにしては珍しく、パーカションがやたらに耳障りなアレンジで嫌な感じだ。 また当時のマスル・ショールズのサウンドの軽々しさも出てしまっている。


Side1-2  Sugar Foot
 キングカーティスと、マスル・ショールズ・スタジオのベース奏者であるデビッド・ホッドとの共同作品。 イントロからゾクゾクしてくるようなミディアムテンポのカッコイイ曲だ。 キングカーティスの魔力は、ニューヨークであろうが、アラバマのマスル・ショールズであろうが、バックのメンバーがガラッと入れ替わっても(白人が加わってしまっても)全く違和感がなく、彼のサウンドとして仕上がっていることだ。 普通、他のアーティスト(ウィルソン・ピケットや、ジミー・ヒュース、アーサー・コンレイなど・・・)のマスル・ショールズ録音を聴くと、ロジャー・ホーキンスの癖のあるドラムでマスル・ショールズだと直ぐに分かるのであるが、キングカーティスとのセッションになると彼も完全にレイ・ルーカスになりきっているようで、いつもとは違うリズムになっているのだ。 どういう訳なのか、ATCO時代のキングカーティスのマスル・ショールズ録音作品には、どれを聴いてもマスル・ショールズのフロントマンの影が薄くなっていて面白いのだ。


Side1-3  Floatin'
 キングカーティスとその愛弟子達のチャック・レイニーと、コーネル・デュプリーの共同作品。 この曲のメインになるフレーズは、STAXのアイザック・ヘイズとデビッド・ポーターのコンビが1968年にウィリアム・ベルとジュディ・クレイのデュオの為に書いた " My Baby Specialize " ( STA-0017 ) という曲がどうやらベースになっているようだ。
 この曲の見せ場は、中盤でキングカーティスのロング・サスティーンをきかした甲高いソプラノ・サックスに、コーネル・デュプリーのサイレンのようなスライドギターが交差して、そこに Arif Mardin のストリング・サウンドが被さってくるところだ。 これはステレオ盤で聴くと面白い。





Side1-4  Bridge Over Trouble Water
 サイモン&ガーファンクルの1970年の大ヒット曲で、同年のグラミー賞でも最優秀レコード、最優秀アルバム、最優秀ソングの上位3部門を総なめにしてしまった彼らの代表曲。 オリジナルに忠実なピアノの演奏をバックに、キングカーティスとしては珍しく終始ひかえめにテナーをプレイしている。



Side2-2  Something
Side2-4  Let It Be
 ビートルズ解散直前のヒット曲のカバー。 キャピトル時代からの友人達(解散してしまうビートルズ)に敬意を表し、キングカーティスは彼らに捧げるように、しんみりとテナー・サックスで歌い上げている。



Side2-3  Promenade
 キングカーティスと、コーネル・デュプリーと、このセッションンでのベース奏者であるデビッド・ホッドとの共同作品。 キングカーティスが多重録音によってギターとサックスの両方をプレイしている異色作。 テナー・サックスにオクターバーか何かのアタッチメントを通して音を二重にしている。 1970年頃になるとワウやファズの他にも色々な種類のエフェクターが登場してきた時代なのでキングカーティスもサックスに取り入れてみたものだと思われる。 当時こんな実験的な試みをしていたサックス奏者はキングカーティスだけなのではないだろうか?





Side2-5  Someday We'll Be Together
 ダイアナ・ロス&ザ・スプリームスの1970年1月のヒット曲。
尚、この曲のリリース後にダイアナ・ロスはザ・スプリームスを脱退し、4月にはソロデビューを果している。

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